奈良県御所市にやってきております。
えー、いきなり冒頭から話が逸れるんですけど。
最近読んだ漫画で「峠鬼」ってのがありまして。
神と人間が共生していた遥か古代の日本を舞台にした作品なんですが、これがめっぽう面白い。
主人公は役小角。
作中では役小角、流浪の身で、村から村へと旅する日々を送ってるんですが、巻が進むにつれて、その道行きには大きな悲願が隠されていることがわかってくる。
どうやら葛城山の「一言主」と呼ばれる神が、物語に深く関係してるっぽいんですよね。
まだ全ては明らかになってない(2022年3月現在連載中)んですけど、私は読んでて、あることをふいに思い出したわけだ。
いやちょっと待て、葛城山って、奈良県じゃねえの?と。
あれこれ調べてみると、地元では「いちごんさん」と呼ばれ、親しまれている神社が存在するらしい。
で、面白いのはこの葛城之一言主大神、時代を経るにつれてどんどんその神威が低下していく描写が古い文献に記されていることで。
最終的には役小角に使役されて橋かけるのを手伝わされたとか、とても神とは思えぬ労役を強いられてたりする。
当時の政治事情なんかも反映されてるらしいんですが「峠鬼」という物語の着想のヒントがそこにあるのだとしたら、こりゃ実に興味深いな、と。
どういう形で神威が回復したのか?までは調べきれなかったんですけど、ネットでわからんのならとりあえず行ってみるのもいいのではないか、と。
アニメファンの聖地巡礼かよ、とつっこまれそうですが、現実と創作がリンクする経験が簡単にできるのもたまたま関西在住だったからこそ、うむ、これ、ブログのいいネタだ、とこっそりほくそ笑んだのは内緒だ。
はい、着きました。
神社そのものは葛城山の麓に鎮座してます。
こじんまりと決して広くはない境内ですが、きれいに手入れされてますね。
地元の人から手厚く信仰されてるのがよくわかる。
多分、正月とか催事のときにはすごい人出なんだろうな、と思う。
この規模の神社でこのおみくじの数は尋常じゃないですよ。
神社周辺はまさに田舎の田園風景、のんびりした時間が流れてます。
神武天皇が征伐したと伝えられる土蜘蛛の塚があったり。
しかしまあ、ある程度は予測してたけど、どうやって一言主が再び民の熱心な信心を得るまでに神威を回復したのかが、さっぱりわからんな。
どこにもなにも書いてないし。
文献がそう伝えるだけで民間では太古から変わらぬ信仰が受け継がれてたのかもしれません。
とりあえず一言で願いを叶えてくれるらしいので、色々とお願いしといた。
いや、だから一言だから、俺。
多分、正面が葛城山。
山頂までロープウェイが敷設されてるんですけど、コロナの影響で早仕舞いしてて運行時間に間に合わなかった。
山頂駅付近には葛城天神社ってのがあって、私はそちらこそが奥社であり、一言主の本丸か、と思ってたんですが、どうやらそうではないみたい。
祭神は国常立命で、古来、雨乞いの神事等行われてたらしく、一言主、ほぼ関係なし。
なぜか役小角も一緒に祀られてたりするんですけどね。
いやいや呪術者で行者だよ?役小角?
安倍晴明神社みたいなもの、と考えればいいのかもしれないけど、なんだかなあ。
修験道が微妙に混じってるのかもしれないですね。
しかし一言主を見下ろす位置に役小角が居る、ってのがなんだか歴史を感じさせます。
ま、結局のところ何もわからずじまいではあったんですけど、峠鬼を楽しむ上でイマジネーションが膨らんだことは確かです。
作品のファンだ、ってな人は行ってみるとそれなりに楽しいですよ。
葛城山、春は一面のツツジが圧巻らしいです。
さて、これからどうするかな、と。
葛城山登頂ができなかったんで、これ以上書くことが何もないわけなんですけど、ここで終わってしまってはあまりにもボリューム不足。
予定にはなかったけど、行ってみるか、あの街に。
日が暮れるまでの勝負、さて間に合うか?
<2ページ目へ続く>