屈指の秘境、大台ケ原へ【奈良】

奈良県の吉野熊野国立公園、大台ケ原へ行ってまいりました。

実はこの大台ケ原、冬季は閉鎖されていることを知らず、今春無駄足を踏んだ経験が。

結構な時間を費やしてここまでやってきたのに、と呆然。

この悪夢のせいで、一度は完全にへそを曲げた私。

もう、行ってやらないから、頼まれても無視だから、と記憶から消去を試みたわけですが、やはりどこか引っかかるものがあったんでしょうな。

いや、別にね、どうしても見てみたいなにかがあったわけじゃないんですが、けんもほろろに袖にされたのがなんか闘志に火をつけた、というか。

何と戦ってるんだ私は。

リベンジを誓い、再び車を駆ったのがつい4日ほど前。

実はこの場所にたどり着くまで結構ドキドキした。

まさかと思うが、もしや・・・落石とかほら。

不測の事態、ってのもあるわけだから。

ああ、開放されてて良かった。

場所的にはほとんど和歌山県です。

山そのものは奈良と三重の県境にあるんですけどね。

169号線から分岐して40号線を終点まで走ると忽然と現れる広大な駐車場。

結構な台数の車が停まってて驚く。

wikiによると大台ケ原、日本百名山に選ばれたほか、日本百景、日本の秘境100選にも選ばれ、山全体が特別天然記念物に指定されている、とか。

大台ケ原の全体図はこんな感じ。

ぐるりと外周を回っておよそ9キロ。

まあ、歩けねえことはねえだろうと。

せっかく来たんだから全部見て帰ろう、と意気揚々に入山。

特に考えもなく、左回りのルートを選択する。

後から考えたらこれが失敗だった気もしなくはない。

こんな感じのうららかな散策道がしばらくは続く。

それが段々と怪しくなってくるのは10分ほど経過した後。

何故だかわからんのですが、道に大小さまざまな石くれが埋没。

足首のスナップをきかせて転ばないようにするのに一苦労。

で、これがこの後、延々と続くんですな。

写真だと傾斜がわかりづらいですが、これ、かなりの下り急勾配です。

普通に山道だし!

ていうか悪路じゃないのか、これ?

右へ左へと石くれに足をとられよろめきながら、4、50分、眼下に吊り橋が見えてくる。

シオカラ吊り橋(名称)。

なぜか私の行くところには毎度、毎度吊り橋が。

このあたりの伝統なのか、近郊の十津川村と同じく吊り橋は鉄線仕様。

揺れるぜ、いい感じだぜ。

吊り橋から望む下流には川遊びに興じる人たちが。 

で、ここからが実は地獄の道行きだった。

すいません、写真、一枚もありません。

なぜか。

延々と続く悪路な登山道に足腰と心肺機能を痛めつけられ、カメラを構える余裕すらなかったから。

死ぬかと思った。

ずーっと、登りなんです、しかも40分近く。

腰をおろせそうな場所、一切なし。

あっという間に持参したタオルは汗でずぶぬれ、太ももはパンパンに張って進もうにも足があがらない。

唯一、途中で撮った1枚。

根元からひっくり返っとるがな!

これはいつ終わるとも知れぬ悪夢な山路を行く私の未来の姿を暗示しているのかっ、と暗澹たる気持ちに。

というか、シオカラ谷から大蛇嵓へと歩いた人ならわかると思うが、これ、公園なんかじゃねえっす。

普通に登山やんか!

途中にあったなにかのオブジェのような立木。

なんだか祭祀場跡のようです。

ようやく道が平坦になり、大蛇嵓への分岐に到達。

はっきり言ってこの時点でほぼエネルギー残量ゼロ。

なんかずーっと耳の奥でぴー、と音が鳴ってる。

よくわからないがこれは危険警告音だっ、と確信。

命のアラームじゃないのかっ、っと自らの肉体に自問する私。

道の先に鉄製の渡しが。

なんかもう、霧が凄い。

これ標高どれぐらいなんだろう。

丸木橋を渡ると・・・。

ついにきたぜ!大蛇嵓!

実は、ここに来ることが今回の一番の目的だったんです。

ものすごい霧だったんで写真じゃよくわからないと思うんですが、これ、断崖絶壁に柵を張り巡らせただけの場所。

マジで怖いです。

東尋坊の比じゃないです。

だって地上が見えないんですよ。

しかも足元がこれまたつるつるすべるときた。

来た人、みんな生まれたてで移動してました。

ていうか、転んだら最後。

そのまま柵をすり抜けて虚空へと華麗にダイブしてしまうことは間違いなし。

今まで死人は出てないのかここ、と真剣に思った。

怖くて先端にまで近寄れない。

だって足がね、もうガクガクなんですよ、ここに到達するまで2時間弱のアップダウンを踏破してきた中年としては。

あ、絶対こける、間違いなくこける、そしてそのまま奈落の底へ、って私の海馬が経験則から強い警告を発しておるわけです。

笑う膝をしかりつけながら、深山の幽玄たる景色を堪能する私。

うっすらと霧の向こう側に険しい山々の連なりが見える。

いやー聞きしに勝るすげえとこです、ここ。

圧巻、来た甲斐があった。

問題はここから無事に麓まで帰れるのかどうかだがな。

<2ページ目へ続く>

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