入院とか、自分に関係ないと思ってた 4

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9日目

SNSにも書いたのだけど、入院中、一番困ったのが院内で履いてる靴がどんどん臭くなっていったことだった。

なんせベッドに居るとき以外はずっと履いてるものだから匂いが染みていくのも早い。

常に足元から腐敗臭が漂ってくる。

不愉快極まりない。

かといって、院内で靴を洗ったら、その間に履いておけるものがない。

この時ほどAmazonのありがたみを実感したことはなかった。

スマホをワンクリックで翌々日には新たな靴が。

逆に、入院時に持ち込んでおいてよかったとつくづく思ったのが2メートルのスマホ充電ケーブル。

コンセントがベッドの近くにあるとは限らない、という予測が的中する。

院内の売店で買ったら1000円超えるけど、ダイソーなら200円。

スマホは時間つぶしの生命線。

充電はある意味命綱である。

10日目

すこぶる体調が悪い。

少しづつ数値は良くなってるらしいが、朝から気分がすぐれない。

入院時からずっと左腕に突き刺さったままの点滴が気になって仕方がない。

発作的に抜いてしまいたい衝動にかられる。

なのに、相変わらず眠れない。

しんどい。

弟からタブレットが届くが、立ち上げて設定する気力がない。

11日目~15日目

ずっと具合が悪くて寝たり起きたりの繰り返し。

うつろな意識の遠くでばひょおおおおおおおっと汽笛が鳴る。

ああ、屁だ、これは奴の屁だ。

許してねえぞ、決して。

着替えたいのに看護師が新しい入院着を持ってこない。

入院着やタオル、シャンプーやティッシュ等の消耗品は外部委託という形で業者と1日500円ほどで契約するのだが、肝心の業者が入院病棟に常駐してないので、不足すると看護師に頼むしかない。

「あの、着替えたいんですけど・・」

「・・・・・」

1時間経過。

やがて晩飯。

「あの、着替えたいんですけど・・・」

「・・・はい」

洗濯済みの入院着がもたらされたのは夜勤の看護師が出勤してからであった。

毎日500円とられるのに、どう考えても毎日入院着を替えてない。

苦情を言いたくともしんどくて気力がわかない。

忙しいのはわかる、入院着よりも患者の容態の方が優先なのもわかるが、それならそれで「夜まで待って」とか、せめてあらかじめ伝えられませんか?と思う。

あからさまに煩わしそうな顔をしてるのがマスク越しでもわかるんだよ。

ああ、調子が悪いとこんなことですら毅然とした態度に出れない。

16日目

今日は少し気分が良いので、タブレットの初期設定をすることにする。

よい時間つぶしになる。

これでブログも更新できるんじゃね?と思うも、キーボードが小さすぎてミスタッチばかり。

無理。

NETFLIXにアクセスして映画を見始めるが、どうにも集中できない。

やっぱり気分が良いとはいえ、まだ本調子ではないんだなあ、と悟る。

電子書籍のサイトで無料漫画を片っ端から読みまくる。

劇画の大家、小池一夫の名作「子連れ狼」が全巻無料になっててびっくりする。

御本人が亡くなられた後、関係者が権利売っちゃったんだろうな。

このシリーズをただで読むとかありえない、と思うが、これも悲しいかな時代の流れか。

17日目

なんだかやたらと仕切りたがる看護師が1人居る。

多分私より年下だと思うんだけど、常に患者を何もわかってない子供扱いしようとする。

「ああ、だめだめ、そんな事したら血が止まらなくなるからね、もっとちゃんと押さえて」だの「脈拍はかる時に腕まくらなくても大丈夫だから」だの、とうにわかってることをことさら強調して何度も言う。

私には私の省略の仕方があって、それでつつがなくルーティンを消化できることは広く確認済みであって。

あたかも手順を遵守しないのは悪である、とでも言いたげなくどさで命令してくるのがとかく鼻につく。

かと思えば「不整脈が続くのは〇〇が原因で、あーで、こうで」と聞いてもいない知識をひけらかして患者より優位に立とうとする。

病気のことで疑問に思ったらお前ではなく、医師に聞く、という話だ。

更にひどかったのがマスク警察さながらに、あちこちで患者にノーマスクを注意しまくってたこと。

ちょっとトイレにいっただけで「マスクをつけてくださいっ!」

シャワー室から出てきて廊下で頭を拭いてたら「マスクつけてくださいっ!」

私の場合、歯を磨いた後についうっかりしてノーマスクで洗濯機を回していたらやられた。

「マスクをつけてくださいっ!」

「洗濯室に誰もいないだろうが!バカかお前は!」

厳密に言うと私は正しくない。

正しくないが、ただでさえ闘病生活で気が滅入ってるし、体もしんどいのにロッテンマイヤー先生の出来損ないみたいな女にヒステリックに叫ばれたんじゃ、頭に血も上る。

以降、この看護師とは退院するまでずっと敵対関係にあった。

小さな意地悪をされたこともいくつか。

ただ、この女は何故か私の暴言を上長に報告せず、単身で私を目の敵にしてきたので、私も誰にも言わず敵意を受けて立つことにした。

一番怖かったのが女が私の採血を担当した時。

「はーい、痛くないでしゅからね~」(絶対にこう発音した)

毒物を注入されて殺されるかもな、と思った。

生きてたけど。

続く

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